黒川温泉「食の学校」
地域の食の背景を知る。ということで同じ町内にある「下城きのこ農園」さんにお邪魔しました。
国内シャアの1割しかない原木椎茸を栽培している農園の社長である下城さんは現在29歳!
若くして会社を継承したエピソードは
「一緒にやるといろいろ口を出しそうだから、おまえの好きにやれ」
というお父様からの一言だったそう。
ちなみにその時お父様はまだ50代前半で、現在は農園とは別のお仕事をされているそうです。
そうして継承した下城さん、
最初は「どうやったらお客様のニーズにあった椎茸が作れるか」と
試行錯誤していたけど「なんか違うな」と思い直し
「椎茸嫌いがもっと嫌いになるような椎茸を作ろう」と、より濃厚な椎茸の味を追求することを心に決めたそうです。
下城さんは小学生のころ「木を切っている家業は自然破壊をしているのではないか」と、
ずっと罪悪感を持っていたらしいのですが、
小学校高学年になって「自分の家の仕事を知る」という学習で、お父様から家業についていろいろと話を聞き
「自然を守るためには、人の手も必要で、自分たちの家業はちゃんと山を守っているんだ。」
「先人たちの知恵がつまったこの仕事は、すごい」と
この仕事の素晴らしさを知ることができたそうです。
椎茸の駒打ちをするのは、クヌギやナラなど阿蘇の草原に生えている落葉樹です。
実はこの木々の寿命は30年ほどで、放置すると倒木になり森が、草原が荒れていってしまう。
およそ樹齢15年ほどの木を伐り、川からひいた水にひたし、圃場にならべる。
木を伐りだすことをはじめとする作業は本当に大変で、
人手がかかり、原木椎茸は希少なものになっています。
持たせてもらったのですが、およそ2~30キロの木を持ち上げるのは至難の業です。
そんな仕事に魅力を感じ、情熱を燃やし続ける下城さん。
奥様も農園内でキウイフルーツなどのフルーツを栽培して一緒に頑張っていらっしゃいます。
(なんとお子さんが5人いらっしゃる!この日も一番下のお子さんを抱っこしてお話ししてくださいました。)
お話を聞いた後に、味の濃い椎茸の見分け方を教えてもらい、椎茸を収穫し、それを炭火焼して食べさせてもらいました。
パンケーキみたいな椎茸!これだけ開いたものは、日持ちがしないので市場にはほとんど出回らないけれど
最も香りが濃厚で、試食したら口の中がずーーっと椎茸の香りでした^^
炭火焼した椎茸に最高に合う醤油でいただきました!
参加メンバーの幸せそうな顔(笑)
実は町内ではわりと手に入ってしまう原木椎茸の希少性を知りませんでした。
旅館で何気なくお客様に提供している椎茸にこんなに深い話があって。生産者さんの情熱があって。
知らなかったことがもったいない。と、またもや猛省です。
自然と共に在る事を体感できる。こんな想いを持つ人々とのつながりをもっとお客様に伝えていきたいなと思いました。
素晴らしいお話を聞かせてくださった下城ご夫妻に感謝です!ありがとうございました。
(writing by 漣祐子)