地域のなかでつくる、
身近な家具
“黒川温泉×地域”で働く
當房 こず枝
かける木工舎 家具職人
地域のなかでつくる、
身近な家具
當房 こず枝
かける木工舎 家具職人
私はこれなんだろうな
家具職人になろうと思ったのは6年くらい前で、それまでは熊本市で事務系の仕事をしていました。充実してはいたんですけど、本当に好きなことを仕事にできたらいいなって考えるようになったんです。
私、小さいころから図工が好きで。中学校2年生の技術の授業で、1枚の板からみんなが本棚をつくる中、私は工夫して椅子をつくりました。実家に残してあったその椅子を見たら、どれだけつくるのが楽しかったかをありありと思い出して。私はこれなんだろうなって思ったんです。
長野の学校に1年行って、3年修行したころにこの場所を見つけて、パートナーと一緒に独立することを決めました。もともと家具職人が30年ほど住んでいた場所で、次に使う人を探していたんです。この地域に知り合いは1人もいなかったけど、山のなかにぽつんとあるこの場所が気に入って移住してきました。
この場所だからできる家具づくり
だんだん知り合いも増えてきて、今はとても楽しいですよ。よく行くカフェのオーナーさんが「店内のテーブル変えたいんだよね」って相談をくれたり、暮らしている中で仕事が生まれている感じがあります。人とつながって、最終的に家具ができるっていうのがいいですよね。
最近は小国杉を使って、耳付きのダイニングテーブルをつくりました。森林組合さんで一緒に丸太を選んでもらったり、製材所でいい耳がとれるように相談したり。そこまで付き合ってくれるところって、なかなかないんですよ。木を切る人、売る人、製材する人、乾燥する人がいるからできたテーブルです。この地域で家具をつくるってこういうことなんだなって。つながりのなかで仕事をさせてもらえるのは、とてもありがたいですよね。
身近な家具職人
今、黒川温泉の入湯手形をつくるプロジェクトにも携わっています。35年、ずっと1人で黙々とつくり続けてきた方がいて。すごく手間がかかっているんです。南小国の山から切り出した間伐材を、南小国の温泉地で使う。森もきれいになって、黒川温泉も潤って、手にしたお客さんも喜ぶ。黒川温泉のみなさんと協力しながら、どうやって手形を残していくかを考えているところです。
関わりができるなかで声をかけてもらって、旅館で使うお手拭きの台やパーテーション、客室に置く椅子をつくらせてもらう機会も増えてきました。身近な人から相談してもらったり、地域の資源を使ったり。こういうスタイルの家具職人になるなんて想像もしてなかったんです。身近な木の家具をつくる、身近な家具職人っていいなって思っています。
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皆様にお会いできることを、心より楽しみにしています。