ずっと外に出たかった

父と母が黒川温泉で働いていて、ここが私の地元です。ずっとここを出たくて熊本市内で就職しました。だけど、自分が好きじゃないことを仕事にするのはきつくて、一度戻ってくることになったんです。それでもいろいろなところで働いてみたかったから、1年くらいしたらまた外に出ようって決めてたんです。いつの間にか3年が経っちゃいましたね。

組合では30件ある旅館とお客さまをつないだり、手形やタオルを販売したり。黒川温泉を広報するための事務作業もしています。話す相手は変わっても、やることはほとんど毎日変わらない仕事だったんです。自分ってここに必要とされているんだろうか、ここで働いていていいのかなって思っていた時期もありました。

チャレンジできる場所

そんな雰囲気が周りに伝わったのか、黒川塾に行ってみない?って声をかけてもらったんです。黒川塾ではいろいろな講座を受けながら、それぞれがマイプロジェクトに取り組んでいます。旅館のドリンクメニューを改善する人、宿泊プランを考える人がいるなかで、組合から参加している私ができることはなんだろうって考えて。

組合の収益は、入湯手形の売れ行きに左右されるところが大きいんですね。それ以外の売上も上げていきたいよねって話になって、売り場のレイアウトを変えてみたり、きよらカァサという物産館に黒川温泉のブースをつくってもらいました。そしたら、POPで一言付け加えるだけで売上が変わるんですよ。なにかしてみたかったけど、今まではどうしたらいいかわからなかったんです。黒川塾にはチャレンジできる機会をもらいました。

恩返しにできることを

プロジェクトの一環で、カヌレの販売も始めました。もともとお菓子づくりが好きだったので、いろんな人に相談したり食べてもらったりしながら、ここでしか買えないものをつくれたらって。おいしいって言ってもらえるのは、すごくうれしいんです。これからはもっとお菓子の種類を増やしてみたいし、いつか、若い人が集まるようなカフェをつくりたいと思うようになりました。

組合の仕事は旅館の社長さんとか女将さんとか、関わる人がたくさんいるんですよね。応援してくれたり、心配してくれたり。私、ここにいる人たちが好きなんです。お世話になった恩返しじゃないですけど、小さな力でも、この地域のためになにかしたい。前はここにいていいのかなって悩んでいたけど、もっとできることがあるんじゃないかと思えるようになりました。

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皆様にお会いできることを、心より楽しみにしています。