黒川温泉では、様々な研修の企画・実施を通して、黒川温泉で働くスタッフの方々に豊かなキャリアを築いてもらいたいと考えています。
この記事では、研修部コーディネーターとして次世代リーダー育成プログラム黒川塾などの設計を行っている前田優さんに、それらの研修事業を行うに至った経緯や想いなどを語ってもらいました。

「人」に惹かれ、自分の意思で

黒川温泉との出会いは、当時私が活動をしていた徳島県神山町に、黒川温泉の組合理事の皆さんが視察に来たことがきっかけです。皆さんの地域を盛り上げていこうという姿勢というか、強い気持ちがとても印象的でした。その後のご縁で、当時所属していた会社で黒川温泉のある旅館さんの人材育成に関わることになったとき、これは観光業の経験もある自分の仕事だと感じて、自ら手をあげて黒川に来たんです。

実際に黒川で働いてみて、旅館同士の交流が、従業員間であまりないことが気になったんですよね。ここで自分ができること、貢献できることを考えつつ、地域全体の人材育成の必要性について研修部のみなさんと話す中で、黒川塾を立ち上げることになりました。

自分の可能性を肯定できる場

私自身、自分を肯定できない時期があって、神山町で地域の人たちに迎えてもらって復活したというか、自分が前向きに変わっていけたという経験をしているんです。周りが温かく応援することで人が開いていく状況に、すごく美しさを感じていて。そこから着想を得ていることもあり、次世代リーダー育成プログラムと位置づけている黒川塾は、知識を積み重ねるというより、その人の可能性が開いていく機会をつくることを目指しています。地域の中で知り合いが増えたり、この土地の文化や歴史を学んだり、小さくても成功体験をしたり。きっかけは人それぞれだし、全員がそうなるわけでもありません。だけど、最初は自信がなさそうだった人が、見違えるくらい主体的に話をしてくれる様子を見たときには、やっぱり感動がありますよね。

自分の可能性を自分で肯定できた人って、目が活き活きとしてくる。心持ちが変わって、仕事が楽しくなってくる。そんな人が増えていくと、結果として、旅館、そして地域もよくなっていくと信じているんです。

“チューター”としての距離感

旅館の経営という視点からみても、ちゃんと会社の文化をつくって、そこに共感してくれる人と働き、育てていくことが大切になっていくはずで。人をおもてなしして、喜んでもらう。観光業で働くって、すごく素敵なことじゃないですか。
携わっている人たちが、自信を持って活躍できる場であるように、僕は「全力で見守る」っていう言葉を大切にしています。なんでもかんでも手を差し伸べるわけではないけれど、その人が今どういう状況にあるのか、すごく気を張ってアンテナを立てておく。そうすることで、いざというときに関わることができる。もちろんここぞというときは、しっかり指摘もします。
僕自身は、そのようなチューターとしての距離感を大切に、今後も黒川、そしてここで働く人たちに関わっていけたらいいなと思っています。

最後に

昨年の黒川塾で話した内容に「自分を大切にする」っていうのがあって。私としては、黒川温泉で働く若手のスタッフには、まずはそこを目指して頑張ってほしいと思っています。それはもちろん自分を甘やかすことではなくて、例えば「お客様に喜んでもらえるように」「自分で工夫ができることはないか」「やったことがない仕事だけどチャレンジしてみる」という気持ちで頑張るということです。次第にできることや旅館に貢献できることが増えていき、周りからの信頼に繋がっていったり、自分の確かな居場所ができていったりしますから。
つまり「自分を大切にする」とは、皆さんにとっての未来の可能性を、自身で拡げてあげることだと思うんです
数年後、それらを自分に問いながら過ごした日々を振り返ってみたとき、きっと皆さん自身も、自分の成長に驚くことになると思います。黒川塾生をはじめ、そんな成長した皆さんの姿が見れることは、私が研修事業に携わる一番のモチベーションですね。

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皆様にお会いできることを、心より楽しみにしています。