大観峰
2018.07.05 / 見る・体験する
(黒川温泉から車で約35分)
「阿蘇山という名の山はない」。そう言われると、驚かれる方が多いのではないでしょうか?
そう、「阿蘇山」というのは総称です。火山の噴火によって陥没したカルデラ盆地と、その中央にそびえる阿蘇五岳(根子岳、高岳、中岳、烏帽子岳、杵島岳)、カルデラの周りを囲む外輪山という山々も含めた全域を指す言葉になります。
阿蘇山でよくあるのが、お釈迦様が寝ている姿に見える角度から阿蘇五岳を撮った写真。阿蘇のパンフレットに使われています。山頂がギザギザの根子岳が仰向けに寝た釈迦の横顔です。次に1番高い高岳が胸、続いて中岳の白煙をあげている噴火口あたりがヘソになるのかしら。そして、烏帽子岳、杵島岳が膝です。涅槃像に見えましたか?
その涅槃像の眺めが素晴らしい展望所が「大観峰(だいかんぼう)」になります。
平らな山頂が続く北外輪山の中で1番高い場所、標高936mの位置にあります。当たり前ですが、この阿蘇五岳は見る方角によってまったく違う形に見えます。各展望所を順番にまわってカルデラ内を一周するのもおもしろいですね。初めて見る人は、形が変わると阿蘇五岳だと気づかないかも知れません。
大観峰からは阿蘇五岳を真正面に見ることができ、カルデラ内の田畑や家々が見渡せます。田に水が入る季節は鏡のように夕日の色が映り込み、秋はそれぞれ色の違う田畑がパッチワークのように見えます。
カルデラ内は雲海が発生しやすい地形で、条件さえ揃えば季節を問わず町が雲海に覆われて隠れてしまいます。運が良ければ、大観峰から雲の上に浮かぶ涅槃像を見ることができるかもしれません。
先日、阿蘇の草原を見て「阿蘇は火山灰で覆われているから、きっと木が生えないのよ」と話している観光客がいました。
いえいえ、阿蘇の山々も野焼きをしなければ雑木林になってしまいます。阿蘇の草原は毎年野焼きをすることで保たれているのです。それは千年とも、1万年続いているともいわれています。
野焼きの季節は3月。風向きをみて火を放つと、人の高さをはるかに超えるド迫力の炎が草原の上を流れていくように草を焼いていきます。これも阿蘇の風物詩のひとつで、多くの人が見学に訪れます。四季折々の色、時間帯により異なる色、1度と言わずに何度でも訪れて欲しい場所です。
車を停める大観峰茶店から大観峰展望所へ向かう遊歩道は一周30分くらい。ぐるりと歩いた後は茶店でホッと一息。寒い冬でもつい食べたくなるほど美味しい阿蘇小国ジャージー牛のミルクを使った濃厚ソフトクリームや何も付けなくてもおいしい焼きフランクフルトがおすすめです。
大観峰
住所/〒869-2313 熊本県阿蘇市山田
電話/0967-32-3856 (阿蘇大観峰茶店)
公式サイト/阿蘇大観峰茶店