花唐符

2020.03.10 / 食べる

by 五瀬駿一

花唐符

北外輪山から小国方面に向かって降る最中。まだ、大観峰から九重連山にかけての美しい草原を見ることができ、高地特有の引き締まった空気が漂う場所にそのお店はある。

おいしい豆腐が味わえるお店「花唐府」だ。

この横に引き伸ばしたような建物がお店の目印。天井が低い装いは昔の町屋のような雰囲気がある。

ただ、中に入ると、その空間の広さに驚く。外観では低く思われた天井も高く感じられ、奥行きもある。椅子やテーブル、柱になど、内装には木材がふんだんに用いられて温もりを感じる。

主なメニューは日替わり定食の花ランチセットと、ゆうすげ膳、はぎ膳、りんどう膳の４つ。日替わりの花ランチセットで出てくる、豆腐ハンバーグや麻婆豆腐が最大限に気になる所ではあるが、初めての訪問ということあって、一番よく出るというりんどう膳を頂くことに。

料理を待っている間、気さくな店主さんから話かけてくれた。なんでも、このお店のお豆腐は毎日、お店で仕込んでいる手作りの物。そのため、通常の豆腐と比べて時間がかかるが、その分丁寧に作りだせ、味わいが生まれるのだとか。

また、車でしか来ることができない場所になるので、家族でやってくるお客様が多いのだとか。最近は、海外からのお客様もあるという。

卯の花の心地よい酸味、とうふ汁をすすってほっとするような絶妙の味付け、サラダに乗っかっている豆乳こんにゃくの食感の楽しさ。

そしてお店で仕込んだという豆腐が本当に瑞々しい。一番印象に残るのは油揚げだ。

おいしい豆腐屋さんに行った人が「豆腐をおかずにご飯を食べられる」と口を揃えて言うが、ここで食べられる油揚げがまさにそうだ。

口に入れた瞬間に旨味を存分に含んだジューシーさが来る。一瞬、焼いた肉を食べているかと錯覚してしまう程だ。ご飯のおかわりも自由だ。

料理や雰囲気、ご主人の人柄と、本当に安らぐような場所だった。黒川温泉に行く手前、是非、立ち寄ってみてはいかがだろうか。